Topaz -友情と希望-
「悠希、この前面白い子を見つけたよ」
隣でグラウンドを見下ろす親友に声をかけた。
私の声色が楽しそうだと悟ったのだろう。
悠希も興味あり、と言う表情で私の方を向いた。
「へぇ…紅がそう言うなんて珍しいじゃん。どんな子?」
「新入生だと思うよ。多分二つ下だから」
「これからの部活が楽しみね」
さすがは私の自慢の親友。
考えをよく理解してくれていると思う。
私の言う『面白い子』と言うのが部活に関係する事だと気づいているのだ。
「んじゃ、そろそろ行こうか。放送で呼び出されるのも面倒だしね」
「はいはい」
私の声に面倒そうに返事を返して、悠希は自分の席を立った。
すでにドアに向かって歩き出していた私の横に並ぶ。
「副会長は忙しそうですね、紅さん?」
「会計も今日はしっかりと働いてもらうから覚悟してね、悠希さん?」
そんな会話を交わして、私たちは廊下を進んで行った。
『ねぇ!桃に聞いたんだけど、今日は凄い1年生と試合したらしいよ!』
携帯の向こうで悠希が興奮した様子で話す。
その音量に紅は耳から少し離した状態で彼女の言葉を聞いていた。
「あぁ、その子が多分私が話してた子だよ」
『そうなの?』
「桃に聞いたって言う特徴がそっくりだから」
『あー…惜しかった…。遠征について行かなきゃよかったかもー…』
「こらこら。私達がついていかなくてどうするのよ。ただでさえマネは二人しかいないのに…。
明日からは嫌でも見れるでしょ?」
クスクスと笑いながら悠希にそう返す。
電話口の向こうで彼女が口を尖らせているであろう事は手に取るようにわかった。
もっとも、悠希とて本気でそんな事を言っているわけではない。
「明日から1年生の仮入部が始まるし…そうなったらあの子も来るだろうしね」
『で、何て言うの?その子』
「…桃に聞かなかったんだ?」
『アイツ言い忘れた。しかも寝るからーとか言って一方的にメール切られたし!』
「桃らしいね。あの子の名前は―――」
紅は机の上にあった雑誌の切抜きを指で弾いた。
「越前リョーマ」
05.03.06