逢瀬はごく突然に その後
60万Hit感謝企画

「時間だったようだな」
「…今頃遅いわよ」
「仕事が立て込んでおったのだ。許せ。日頃の褒美のつもりだったが…どうやら選択を誤ったらしいな」

コエンマは紅の背に立ってそう言った。
彼女は眠る蔵馬を見下ろして動かない。

「私、そんなに変わったの?」
「………妖狐が言ったんだ。間違いはなかろう」
「そっか」

背中を向けている紅の表情はわからない。
しかし、コエンマには彼女が笑っていると言う確信があった。

「まぁ、蔵馬に会えたのは嬉しかった。だから…今回だけは許してあげるわ」

彼女の言葉にコエンマは心の中で安堵の息を漏らすのだった。







「随分大変だったんだな」
「本当よ。何も覚えてないの?」
「昨日の夜から綺麗サッパリ記憶がないよ」
「そう。時戻りの薬草の副作用だからね…仕方ないわ」
「あぁ、そうだな。………紅」
「何?」
「愛してる。また会えてよかったよ」
「……私も」

紅の背を抱きしめる蔵馬の手には、ノートの切れ端が握り締められていた。
そこには魔界文字でこう書かれている。

『いずれ来る未来を待つとしよう。今の彼女はお前が守ってやれ、蔵馬』

見慣れた筆跡のそれは、確かに彼がこの場に存在した証でもあった。




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05.08.15