もしもシリーズ
『登場キャラが学生だったら?』

「おはよー!」

紅と一護が教室へと足を踏み入れた。
ちなみにいつも一緒に登校しているルキアは日直なので先に登校済みである。

「おはよ、ルキア」
「あぁ、おはよう」

自分の席に鞄を下ろして、前の席に座るルキアに声をかけた。
日誌から顔を上げて紅を振り返るルキア。

「っと、忘れる所だった。…紅」
「何?」

教科書を鞄から机に移しながら紅がルキアに答える。
ルキアは椅子の背もたれを挟むように座りなおして、身体を完全に後ろに向けていた。

「今日は生徒会があるらしいから放課後残るように、と」
「…白哉さん?」
「ああ。今朝伝えて置くように言われた」
「珍しいねー…いつもは自分で言いにくるのに」
「今日は忙しいらしい。私よりも早く家を出ていたからな」
「生徒会長は大変だねー…時期が時期だし」
「紅もそんな生徒会の一員だろうが…」

人事のように話す紅に、ルキアは呆れたような声を出した。
そんな彼女に紅は笑みを返す。














後5分もすれば始業のチャイムが鳴ろうかと言う時。
紅の隣の席の椅子を引いた人物がいた。

「おはよ、冬獅郎」
「ああ」

日番谷の席なのだから彼が座ったとしても何の問題もない。

「今日放課後生徒会だってさ」
「そうか。わかった」

短い返事を聞くと、紅はルキアへと視線を戻す。

「ルキア、恋次には伝えてあるの?」

そう問うと、ルキアは明らかにハッとした表情を見せた。
その後はバツが悪そうに顔を逸らす。

「…まぁ…兄様が話してくれると思うが…」
「恋次が放課後即行で帰らなければね…私には関係ないからいいけど…」

その時、丁度始業のチャイムと共に担任が教室へと入ってきた。
ルキアも椅子から立ち上がると身体を前に向けて座りなおす。
先ほどまで啓吾たちに捕まっていた一護が隣に座った。

「やっと解放されたの?お疲れ様」
「ったく…知ってるなら止めろよ…」
「ごめん、無理。朝からボロボロね」

クスクスと笑いながら紅は草臥れている一護を慰めた。
紅の右が日番谷、左が一護と言う何とも憧れるような構図が出来上がっている。
この二人、その容姿は中々なのにあまり周囲の受けはよくない。
決して不良と言うわけではないが……「愛想」と言うものをどこかへ置いてきてしまったらしい。
こればかりはその辺で売っているモノでもないのでどうしようもないが。














これと言った出来事もなく、時間は放課後へと移る。

「紅ちゃーん」

知っている声で名前を呼ばれ、紅は鞄を机の上に残してドアの所まで移動する。

「今日は生徒会って聞いてる?」
「あ、はい。聞いてますよ。市丸先輩も行きますよね?」
「ギンでええってば」
「……ギン先輩も行きますよね?」

市丸ににっこりと言われて、仕方なく言いなおす紅。
満足そうに頷くと、市丸はふと走ってくる足音を聞いた。

「ほな、僕は逃げさせてもらうわ」
「え!?」
「紅ちゃん、代わりに会長さんの機嫌取っといてな~」
「ちょっ!ギン先輩!?」

驚くような速さで走って行ってしまった。
そんな市丸に溜め息をつくと、鞄を持って来ようと席へ戻ろうとしたのだが…。
市丸と入れ替わるように吉良がその場へ走ってきた。

「雪耶くん!市丸副会長は!?」
「…逃げました」

肩で息をしているあたりを見ると、彼は校舎内を走り回らされているのだろう。
ちなみに彼が生徒会から逃げるのはいつもの事で……吉良が彼を探し回るのもいつもの事。
よく見る姿とは言え同情の念を浮かべずにはいられない。

「苦労しますね…」
「君にも苦労かけるね…」
「いえ…吉良先輩ほどではないと思います」
「じゃあ、出来るだけ副会長を探していくけど…頼んだよ」
「わかりました」

再び走り去っていく背中を見送って、紅はやっと自分の席に鞄を取りに戻ることが出来た。
自分の席へ戻れば、日番谷が何か言いたそうな表情を見せている。
まぁ、彼の言いたい事は大体わかっていたが。

「ったく…早く行くぞ。待ってる方の身になれってんだ」
「ごめんね」

文句を言いながらも待っていてくれる彼に自然と表情が緩む。
先に歩き出した日番谷を追うために、紅も急いで自分の鞄を持ち上げた。
出口へ走ろうとしていた足を一旦止めると、一護の方を振り向く。

「一護、今日は生徒会あるから先に帰ってね」
「わかってるって。早く行けよ。会長に怒られるんだろ?」
「白哉さんは怒らないけどね」

と紅は笑う。
だが、実際に怒られないのは紅だけで他の役員は冷たい視線を受けることになるのだ。

「あ、夕方に一護の家に寄って行くから。夏梨たちによろしく伝えておいて」
「ああ。しっかり働いて来い」
「了解!行って来まーす」

ヒラヒラと一護に手を振ると、紅は扉を出たところで待っていた日番谷の隣まで走った。

「ごめん、また待たせた」
「全くだな。会長に睨まれたら紅の所為だ」
「だーかーらー…白哉さんは睨んだりしないってば」
「(それはお前だけだっつーの…。)」

日番谷の心中を紅が察する事もなく…。
機嫌よさ気に隣を歩く紅に、日番谷もそれを伝えようとは思わなかった。

05.03.04