Carpe diem --- 000
―――大丈夫?
初めての『仕事』の最中にドジをして、流石に死ぬかもしれないと思っていた。
そんな私に向けられた言葉。
取り囲んでいた大人たちが皆、地面に倒れていた。
そんな中、その場にはそぐわない笑顔で差し出された手。
他人を信じ、頼ることなど、許されない。
けれど、私はその手を取ってしまった。
色褪せてしまうほど、何年も前の記憶。
暗殺一家に生まれておきながら馬鹿なことを、と思う自分も居る。
けれど、忘れられない自分が居る事は、もはや否定できない事実だった。
「―――!どこに居るのー?」
母さんに呼ばれている事に気付き、窓から下を見る。
優雅に揺れる帽子が見えて、そこから呼ばれているのだと気付く。
仕事のことだろうかと、窓を開こうとした私の視界に映りこんだもの。
窓から手を離し、無言で離れる私。
そして、はぁ、と溜め息を吐き出した。
「…早く出て行こう、うん」
一日でも、早く。
Carpe diem (カルペ・ディエム) ラテン語 意:今を生きる
09.06.23