002.たった一つの約束事

「見てろよ!!」

満面の笑顔と共に紡がれるその言葉を、もう何度聞いてきただろう。
何回も何十回も、何百回も。
数えきれないほどに何度も。
一分一秒だって、同じ彼はいないから。
一つ一つを見逃さないように、ずっと彼だけを見てきた。


―――紅にはずっと、俺を見ててほしい。
―――ずっと、翔陽を見ていたい。


二人の想いが重なったのは、もう何年も前のこと。
それでも、あの日のことは今でも鮮明に思い出せる。
夕暮れの中、二人だけで交わした約束。
いくつもいくつも、ボロボロと流れ落ちる涙。
指先で拭った雫の温度。

「どんなときだって、あなただけを見てるよ」

日向 翔陽/ 狐の嫁入り

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2024.04.28