093.待ち侘びて見上げる空
「最近空ばかり見上げてるな」
「そう?………うん。そうかも!」
「空に何かあるのか?」
「空に、っていうか…待ってるの」
「…ああ、例の」
「そ!まさかここに来るとは思わなくて、驚いたなぁ…」
「っつっても、今年入学なら1年だべ?」
「2年離れてれば、1年だけでも嬉しいよ。入ってきたら思い切り抱きしめてあげないと」
「…そういうの、平気な奴?」
「ううん、絶対嫌がると思う。顔を真っ赤にして嫌がる姿が可愛くて」
「…お前…性格悪いぞ」
「そんなの、聞き飽きたわ。私が満足なんだから、それでいいのよ。本気で嫌がってないし」
「…(年上の彼女からこの扱い…男として気の毒だよなぁ)」
「受験の間、大人しくしてたんだから…それくらいは許されるべきなのよ」
「(…寂しかったのか)」
「(…寂しかったんだな)」
「それより…あの子が入ってきたら、変わるよ。風が動き出す」
「すっげー高評価じゃん」
「当然!あの子の悪い所は治ってないと思うけど、そこは上手く矯正してあげてね、主将!」
「俺?」
「バレー馬鹿だから、基本は真面目よ。ただ…うん、ちょっと問題はあるけど、腕はいい!」
「はは…責任重大だな」
「大丈夫、ここなら変わるよ。私がそう言うんだから、間違いない」
「あれ?意外と俺たちも高評価?」
「当然でしょ?じゃなきゃ3年間もマネージャーしないわよ」
「…そっか」
「いつもありがとうな」
「それ、私だけが聞いていい言葉じゃないから聞かなかったことにするね。あ、そろそろ休憩終わりだよ。お先に」
「頑張らないとな」
「ああ、今年こそ…だな」