080.零れた本音
風邪を引いて、寝込み始めて今日で三日目。
漸く熱も下がり、明日には登校できるかなと言う兆しが見え始めた。
そうなってくると、ベッドで寝ているのが暇になってくるものだ。
「うーん…」
今のこの時間、本来ならば机に向かって授業を受けているはずだった。
もちろん、風邪を引いて学校を休んでいなければ、の話だ。
「…暇、だわ」
誰かにメールをして…と思っても、授業中の友人に相手を頼むわけにはいかない。
暇を持て余すようにごろりごろりと寝返りを繰り返す。
熱に魘されている間に届いていたお見舞いメールは、もう何回も読み返してしまった。
意味もなく受信フォルダを動かしていたその時。
「…新着メール…?」
何かの広告メールだろうと思いつつも、この暇を潰せるならとそれを開く。
受信フォルダの下の階層を開いたところで、新着マークの付いたフォルダに瞬きをした。
シンプルに「猛」と区分したそのフォルダの隣に、メールマークがついていたから。
―――そろそろ起きてるかな?昨日の様子だと、今日は暇を持て余してるんじゃないかと思って。
彼の笑顔が見えそうなメール内容に、思わず頬が緩む。
その通りだよ、と心の中で呟いた。
―――こっちの事は気にしなくていいよ。自習時間だから。先生がインフルエンザらしい。
「…あの先生もインフルエンザには負けるんだ…」
今の時間の教科を思い出し、意外だ、と苦笑する。
頑丈な所が取り柄のような先生に打ち勝つインフルエンザとは…絶対にかかりたくないものだ。
そんな事を考えながら、メールを読み進めていく。
何と言う事はない、取り留めない優しいメール。
「………会いたい、なぁ…」
たった三日。
それなのに、こんな風に優しくされると…普段は言えない本音が、唇から零れ落ちてしまう。
そんな自分に自嘲し、最後の一行を表示させるように画面をスクロールした。
―――今日、帰りに寄るから。身体が辛くないなら、会ってほしい。
そう締めくくられたメールに、こっちの台詞よ、と呟いたのを知っているのは、彼女自身だけだ。
大和 猛 / ガーベラ