077.忠誠の誓い

将に憧れて、自ら兵を志願する者も少なくない。
来る者は拒まず、去る者は追わず。
年齢を問わず、彼女は全てを受け入れた。
ただし、戦に出すか否かの決断は、その全権を彼女が握っている。

―――女でも戦える。

彼女を見て、女の強さに気付く女性も多い。
包丁しか握った事のない女性の志願が増えた時、彼女は困ったように笑った。

「本音を言うと、彼女達には戦場には出てほしくありません。けれど…あの決意を無碍にする事は、出来なくて」

―――私も戦いたいんです。

何を守りたいと、直接的な言葉は言わなかった。
けれど、決意の中にその心を見て、女性だからと首を振る事は出来なかった。
結果、彼女はただ、頷いた。
そして、他の兵と変わらぬ訓練に参加させ、彼女らを見極めようとしている。
日々、傷だらけになりながらも、彼女らは決して諦めなかった。

「…無理だと思ったら、やめていい。自分にできる事は他にもたくさんあるからね」

常日頃から、男だ女だと関係なく、彼女はそうして志願兵達に逃げ道を残した。
心が己を強くする―――彼女は誰よりも、それを理解していたから。
そして、見込みのない人間を戦場に連れて行く事の危険性も。

「大丈夫?」

木刀の刃先を下げ、案じるように問いかける。
肩で息をする女性は、それに答える事も出来ず、ただただ呼吸を整える事に努めた。

「…無理はしなくていいよ。大事な身体だから」
「…いい、え…!やめません…!」

まだ荒い呼吸のまま、それでも木刀を構えようとする女性を見て、彼女は頷いた。
それから、休もうか、と笑いかける。

「時には限界に挑戦するのもいいけど…それでは、身体を壊してしまうわ」
「…はい」

彼女からの提案に、崩れるように座り込んだ女性の傍らに進むと、水筒を手渡した。
恐縮しきった様子でそれを受け取る様子にクスリと笑い、腰を下ろす。

「どうして志願したの?」
「………戦に向かうあの人を、待っているだけなんて、できないと思ったからです」

ただただ祈る日々を送っていて、帰還の報せに家を飛び出した時―――先頭を切る、彼女の存在を見た。
女性の身でありながら、一軍を率いて戦を駆けるその人。
優秀なあの人と共に戦う事は出来なくても、何か力になれるのではと思った。

「…そうね。じゃあ、頑張らないと…ね?」
「はい…!」

同じものを目指そうとこの位置に立って、この人の大きさに驚かされた。
まだ若く、そして女性と言う身でありながらも、筆頭と同じものを見て、その志を受け、守ろうとする心。
自分が守りたいと思うあの人と共に、この人の力になりたいと言う気持ちが日々、膨らんでいく。

「私、頑張ります。ですから、もし…ほんの少しでもお役にたてる可能性を見ていただけたなら…っ」
「あなたの頑張りは、ちゃんと見ているわ。その時が来たら、お願いね」

その続きは、言わずとも伝わった。

廻れ、

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12.02.22