073.跪いて手を取って
「鷹って身長高いよね」
今更だけど、と笑う彼女。
彼女は女子の平均程度しかないから、鷹の隣に並べば身長の差はそれなりにある。
「不満?」
「カッコいいよ。でも、目線を合わせるのがちょっと不便」
本当に気にしていないらしい彼女は、迷いなく答えてから苦笑を浮かべる。
少し屈んで、と言う程度では、目線を合わせるのは難しい。
どうしたら合わせられるのかなーと色々試す彼女だが、どれもしっくりこないようだ。
うーん、と首をひねる彼女の傍らで、鷹が小さく溜め息を零す。
そして、読んでいた本を彼女に渡し、ベンチに座らせた。
「鷹?」
「…これくらい?」
ベンチに座り、首を傾げた彼女の目の前に、あっさりと跪く鷹。
確かに、先ほど試した色々より、近い。
彼の意図に気付くと、彼女の目が輝いた。
「あ、ホントだ!近い近い!」
「…嬉しそうだね」
「うん、新鮮!」
嬉しさを隠しもせず、笑う彼女の手を取る。
きょとんとした表情の彼女の手に、軽く口付けて見せた。
「…鷹、様になるね。カッコいい」
「嬉しそうだったから」
「ありがとう。…毎回してとは言わないから、偶にはしてね」
「うん」
お前らここをどこだと思ってんだ!と言う周囲の視線は、もちろんお構いなしだ。
本庄 鷹 / チューリップ