071.貴方の傍らに
自称「死神」の朽木ルキアと知り合い、彼女を通じて黒崎一護を知った。
現実的に説明できないモノが見えていた自覚はあったから、何が何でも信じないわけではなかった。
ただ、あまりにも非現実的だから、はいはい、と素直に信じられなかっただけ。
とは言え、山越え谷越え、苦労してきたらしい一護の話を聞けば、やはり信じないわけにもいかず。
半ば、一護への同情心で、二人の境遇と新しい世界―――尸魂界の存在を、受け入れた。
「よぉ、珍しいな」
こんな所で、と呟く声に、足を止める。
振り向いた先には一護がいた。
「そうか?」
「お前ん家からは遠いだろ」
「あー…バイト先がこの近くなんだ」
バイト帰りだと答えると、なるほど、と頷く。
何と言うわけではないけれど、二人で並んで歩く夕暮れの道。
「そう言えば、今日ルキアに妙な事聞かれたぜ」
「何だ?」
「ストーカーとは何だ、ってな。…お前だろ」
「ああ…」
伝わっていない様子だとは思っていたけれど、どうやら本当に知らなかったらしい。
その話題が出て、ふと思い出したように携帯をポケットから取り出した。
カチカチと操作し、一護にそれを差し出す。
首を傾げつつ受け取った彼は、それをどうすべきなのかわからない様子で、視線を投げてくる。
「今日、クラスの奴からもらったんだけどよ…まぁ、見てみろ」
とりあえず見ろ、と顎で促すと、一護は黙って携帯を操作した。
携帯を操作して数秒、俺の言いたい事が分かったようだ。
「…ストーカーだな」
「他の奴には見えないんだけどな。見える奴にはストーカー以外の何者でもないだろ?」
そのフォルダに保存されている写真の大部分は、クラスメイトから提供された自分が写っているものだ。
その内の、半分以上に写り込む人物。
黒い着物に、そう高くない身長に。
「何やってんだよ、ルキア…」
「事情を知らなきゃ、心霊写真だぜ?とは言え、俺以外は見える奴いねぇんだけど」
「フォローできねーよ」
「俺も無理だわ。女の子にストーカーされてるって喜ぶべきか?」
「…女の…子、か?」
「…ルキアが聞いたら怒るぞ、それ」
歳の近い一護との掛け合いは、それなりに楽しい。
非日常に巻き込まれてしまったけれど、そうそう悪い毎日じゃないなと笑った。