044.占いの行方
お願いします!と下げられた頭を見て、困ってしまう。
恋に恋する年頃のルルが、占いを求めてきた。
いつかは来るかもしれないなとは思っていたので、覚悟はしていたけれど…さて、どうしたものか。
「…あのね、ルル?」
「はい!」
「あなたを占う事は吝かではないの。でもね、よく考えてみて?」
ぴっと指を立て、言い聞かせるように語る。
「私があなたと…エストの関係を占ったとして、それはあの子の感情の答えを聞いているようなものだと思わない?」
私はエストの姉なのだから、ルル以上にあの子の感情を理解している。
自惚れではなく、事実だ。
そんな私が占うと言う事…それは、第三者から答えを聞こうとしているようなもの。
あ、とルルが呟いた。
「そう、ね」
「それでも聞きたいと言うならば、語らなくはないけれど…」
「ううん!そう言うのは聞いちゃ駄目だと思うから!」
パッと耳を塞ぐ彼女が微笑ましい。
どこまでも素直な彼女が、ほんの少しだけ羨ましくて―――思わず、手を差し伸べてしまう。
「ルル、面白い占いを教えてあげる」
「面白い?」
「花びら占いって言うんだけど」
ベンチの近くに生えていた花をプチンと千切り取る。
そうして、彼女の目の前でその花びらを一枚、千切った。
「こう言う風に、一枚ずつ花びらを千切りながら、好き、嫌いと順に思い浮かべるの。最後に残った一枚が、相手の気持ち―――って言う占いなんだけど」
「初めて聞いたわ」
「そう?まぁ、当たるか当たらないかは、考え方次第だから、悪い結果になっても気にしなくていいわ。人の気持ちは花びらで推し量れるものじゃないから」
「うんうん!でも、花びらに気持ちを託すって何だか素敵!」
表情を輝かせすぐにでも走り出してしまいそうな彼女に、最後の助言をする。
「あまり花びらが少なくない花を選ぶのよ。そうしたら、結果がわからないから」
「うん!やってみる!」
ありがとう、と笑顔を残し、彼女が走って行った。
途中、二つ向こうのベンチの影にしゃがみ込み、一輪を手にした彼女。
あ、と思ったけれど、彼女はそのまま走り去ってしまった。
「少なくない花とは言ったけれど…花びらを千切るのに一日かかるような花を選んじゃ駄目よ、ルル…」
彼女が手にした花は、綿毛のように数えきれないほどの花びらを持つ花だった。
確かに、あれならば結果はわからないだろうけれど…最後の一枚に到達する前に、絶対わからなくなってしまうと思う。
「…まぁ、あの子らしいわね」
結果がどうであれ、彼女はきっと笑うのだろう。
その時の表情を想像し、釣られるようにして少しだけ笑った。
ルル / Tone of time