039.傾き加減
「…何やってんだ、あの二人は」
別段、何の問題もない陽気の下。
甲板にいる二人を見て、ベックマンが呟く。
彼と同じようにその二人を見ている仲間は一人や二人ではない。
「二人っつーか、一人と一匹、だな」
「アイツが昼寝をしてる所に、お頭がちょっかいかけてんだよ」
初めから見ていたらしい一人がそう説明した。
ポカポカとあたたかい甲板の空気に誘われて、ど真ん中でのびのびと昼寝を楽しんでいた彼女。
そんな彼女に気付いたシャンクスが、眠い彼女を起こして悪戯していたらしい。
「傾き加減が面白いんだとさ」
「…ああやってると、普通の猫だよな」
確かに、と誰もが思った。
不本意ながらも猫の本能も備え持っている彼女は、目の前で動くものに飛びつかずにはいられない。
集中してくると、何だか首が傾いてくる黒猫は、何とも言えず可愛かった。
「人間に戻れば済むだけの話じゃねぇのか?」
「あー…眠い時は加減を間違えて猫耳とかになるから嫌らしい」
「…そう言うもんなのか?」
「いやぁ…悪魔の実の事は俺にはわからねぇ」
「俺も」
心まで猫に同化してしまっているかのように、右へ左へと揺れる猫じゃらしを追う黒猫。
そう言えば、前の島でシャンクスが大量に猫じゃらしを購入していたなと思い出す。
「だから………眠いんだって言ってるでしょー!!」
「動かすなー!!」と怒った声が聞こえたと同時に、「痛ェ!!引っ掻くな!!」と焦った声が聞こえたが、自業自得なので見て見ぬ振りをした。
シャンクス / Black Cat