035.残されたチャンス
「…ただいま~…」
「あぁ、お帰り」
「…あれ、何してんの?」
「コインの表裏を当てようとしてるのよ」
「…団長が?で、何であんなに真剣なの?」
「アイツ、団長が前々から狙ってる古文書の情報を持ってるんだと」
「で、それを賭けて勝負してるってわけだ」
「ふぅん…って言うか、無理じゃない?彼女の運の良さは神がかってるし」
「うん。今の所、団長が10戦9敗。凄い数字だよね、快挙」
「あはは、やっぱり。団長の悪運の強さも大概だと思うけど…彼女の幸運には勝てないって」
「最初はあの子、情報を渡そうとしてたのよ。それなのに団長が挑発するから…これがラストチャンスよ」
「それであんなに真剣なんだ?仕事の時より気合が入ってるんじゃない?」
「…負けたら古文書を燃やすとまで言ってるから」
「………団長、どんな挑発をしたわけ?あの平和主義な彼女がそんなに怒るなんて、そうないよ?」
「さぁ…何だったかしら」
「ねぇ、そろそろコインを伏せておくのも疲れてきたんだけど?」
「…本当に小細工していないんだな」
「あなたの目を誤魔化すような小細工が出来るわけないでしょうが。ただのコインなんだから、凝を使ったって無駄よ。ほら、そろそろ答えてくれない?」
「………………」
「………はぁ」
クロロ=ルシルフル / ラッキー・ガール