016.お好きなように

「わかってる。…今回ばかりは、反省してるわ。だから―――煮るなり焼くなり、殴るなり…好きにして」

そう言って瞼を伏せる彼女。
いつも強気な彼女には珍しく、その表情は少しだけ落ち込んでいるように見えた。
言葉通り、自分の行動を反省しているのだろう。
それもそのはず…戦闘の“せ”の字も関わってこなかったような素人、一般人の彼女が、その状況の中に自ら飛び込んできたのだから。
あの時の衝撃たるや―――言葉では言い表せない。
全身の血が凍る体験をした気がする。
目の前の敵を斬り伏せるまでに要した時間は、恐らく最速だった。

軽率な行動だった事は明白で、だからこそ珍しく―――はないが、彼女に向かって声を荒らげた。
結果だけを見れば、彼女の登場によって、事態は好転したと言える。
何やってんだ、アイツは!?誰もがそう思い、その心のままに敵をねじ伏せたからだ。
しかし―――それはあくまで結果論であり、一歩間違えば最悪の事態だって考えられた。
だからこそ、怒りを抑えられない。

抑えられない、が―――目の前で肩を落とす彼女を見ていると、別の感情が込み上げる。
無言で俯き、判決の時を待つ彼女の手が、小さく震えていた。

「馬鹿が…っ」

吐き捨てるようにそう言うと、彼女の肩がびくりと揺れる。
それでも頑なに顔を上げない彼女の肩を掴み、その身体を引き寄せた。
衝撃は覚悟していても、それ以外は考えていなかったのだろう。
あっさりと姿勢を崩した彼女が、スクアーロの腕の中に納まった。

「二度とやるなよ」
「…うん」

失わずに済んだ細い身体を抱きしめ、噛み締めるように息を吐いた。

スペルビ・スクアーロ / 山本くんのお姉さんシリーズ

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