012.待ち合わせ場所

「コウさん、お待たせしました!」

パタパタと駆けてくる少年を見つけ、コウが隣のティルを見る。
じゃあ、と声をかければ、彼は頷いた。

「また後で」
「ええ」

そう言って手を振って彼を見送れば、入れ替わるようにしてリオウがコウの元へとやってきた。
離れていくティルの背中に、彼は不思議そうな表情を見せる。

「ティルさんは一緒に行かないんですか?別に一緒でも…」

寧ろ嬉しいし、との呟きに小さく笑う。

「彼は別件があるの。忙しい人なのよ」
「え?じゃあ僕、コウさんに、無理を言いましたか?」

ティルの用事=コウの用事
そう認識しているからこそ出てきた言葉なのだろう。
コウは黙って首を振った。

「別に構わないわ。今回は…彼が古い知人を訪ねるだけだから。行きましょう?」

一緒に買い物に来てほしいと頼まれたのは昨日。
ナナミへのプレゼントを選びたいと言う可愛らしい願いを、コウが叶えないはずがない。
二つ返事でそれを了承し、今日へと至る。





ありがとうございましたー、と店員に見送られ、店を後にする。
購入した品を抱えるリオウの姿を微笑ましく見守るコウ。
そうして、彼女はふと、周囲を見回し…やがて、小さく笑みを浮かべた。

「じゃあ、私はこれで」
「え?城に戻らないんですか?」
「あぁ、大丈夫。トランに帰ったりしないわ。そこで待ち合わせているから」

そこ、と指した方向には噴水があり、その前には既にティルの姿があった。
その様子に納得したリオウは、笑顔で頭を下げる。

「ありがとうございました!」
「どういたしまして」

じゃあね、と言い残し、彼女は噴水へと向かう。
噴水の前でティルと言葉を交わしているらしい彼女。
二人が一緒にいる時の、穏やかな空気が好きだった。
どこか―――自分と同じ、影を見せるティル。
そんな彼が、年相応に笑っていられる場所。

「…いつか―――」

僕にも、そう言う人が。
まだ見ぬ未来の共有者を心に描き、晴天の空を仰いだ。

1主 / 水面にたゆたう波紋

Menu(お題順) Menu(ジャンル別)

11.10.03