096.捨ててしまいなさいと貴方は言う

あの日、冷静すぎるほどにあっさりとリボーンを流したのと同じ人物だとは思えない。
少なくとも、リボーンは目の前の彼女の姿に、呆気に取られた。

「…とにかく、そんな記憶忘れて。寧ろごみのように捨ててしまって」

穴が開くほどに見つめるリボーンの視線から逃げるように、彼女はふいっと顔を背ける。
しかし、それだけでは隠し切れない頬の赤らみは、耳や首元まで続いていた。
首の筋を悪くしてしまいそうなほどに必死に顔を背けている姿は、それだけで普段の彼女との違いを顕著に表していると…彼女自身が気付く余裕はない。

そんな彼女を見て、ニヤリと口角を持ち上げるのはリボーンだ。

「俺は絶対忘れねーぞ」
「…アンタ、性質が悪いわね…」
「今更気付いたのか?」
「いいえ、初めて会った時から知ってたわ」

けれど、自分には害がなかったから…よほどの事、それこそ、綱吉の生死にかかわるような事がない限りは関わらないでおこうと決めていたのだ。
確かに彼女はまだ、深く関わってはいないけれど―――まさか、こんな所でアレを見られる事になるなんて、思わなかった。

「気にすんな。中々可愛かったぞ」
「だから嫌なのよ…っ」

怒りなのか、恥ずかしさなのか。
その境界があいまいになった感情の中で、握った拳を震わせる。
やっぱりいいものを見た―――リボーンは心中で笑った。

リボーン / 綱吉くんのお姉さんシリーズ

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11.08.31