083.空を見るたび、君を思い出す

「またここに居た」

後ろから声が聞こえた。
一番望む声ではなかったけれど、馴染のある声。
そのまま振り向かずにいると、彼女は苦笑を浮かべて私の隣に並ぶ。
ここは、少し高台にある公園。
私が、また、と言われるほどに足を運ぶ理由は―――

「やっぱり、忘れられない…よね」

そう呟く彼女の横顔もまた、寂しげだ。
同じ想いを共有している人がいるから、何とか立っていられる。
全てが一人だったら…きっと、耐えられなかっただろう。

「もう2ヶ月になるね」
「…ええ」
「いつになったら、新しい恋が出来るんだろう」

広がる町並みに視線を向けているけれど、彼女の目にはきっと、広い大海原が映っているのだろう。
幾度となく船に揺られて旅した、四国の海が。

「行くのも唐突なら、帰るのも唐突なんて…世の中って、残酷よね」

誰にぶつけることも出来ない、怒り、悲しみ、焦燥、嘆き。
見覚えのある蔵に倒れていた時の絶望は、言葉では言い表せない。
何が、誰が原因だったわけではなく―――言うならば、これが運命だったのだ。
私たち二人はあの世界には異分子で、そしてあるべき姿に戻っただけの話。
けれど―――

「どうしても、離れたくなかった…」

他に何も望まないから―――あの人の、政宗様の傍に、生きていたかった。
二人で見上げた空と変わらない空が、目の前に広がっている。
感じる風もまた、あの場所を思い出させてくれた。

「いつか、新しい恋が出来るのかなぁ」
「…もう、恋なんてしたくないよ」
「そんなこと言って…。筆頭は、あんたがそうなることなんて望んでないよ」
「じゃあ、元親さんを忘れられるの?」
「………」
「…無理、でしょう?」
「…駄目だね、私たち」
「うん。本当に………あの人のいない世界で、どうやって息をすればいいのか…わからない」

それは、もしかして訪れるかもしれない未来の話。

伊達 政宗 / 廻れ、

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11.08.09