079.今このときだけ、永遠を信じてください

政宗の手が頬に触れ、気怠さに閉じていた瞼を開く。
こめかみに流れた涙の跡を追うように滑った彼の手が、そっと頬を包み込んだ。

「…お前は恐い女だな」
「…政宗、さま?」

声が掠れ、彼の表情に苦笑が浮かぶ。
喋らなくていい、と指先が唇をなぞった。
触れる手はどこまでも優しく、愛されているのだと実感する。

「お前を失うと考えただけで…俺が築き上げてきた世界が崩れる気がする」

存在しないなんて事は、考えられない。
けれど、出逢わなければよかったとも思えない。
今、目の前にある互いの存在に出逢えた事以上の幸せなんてないと思うから。

「こうして触れていても、消えちまう気がする」

大きな手が割れ物に触れるように両頬を包み込む。
その心が、不安が。
手の平から伝わるような気がして、彼の手にそっと、自身のそれを重ねた。

「私は…ここにいます。政宗様の、目の前に…存在しています」

それはある意味、自分に向けた言葉だったのかもしれない。
愛するが故に、失う事を恐れる。
互いが持つこの不安だけは、きっといつまでも消えないのだろう。
だからこそ、今この瞬間だけは永遠なのだと―――そう、信じたい。

「愛しています、政宗様」

返事の代わりに唇が重ねられた。

伊達 政宗 / 廻れ、

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11.08.02