075.ただ笑ってくれればいい

「獄寺くんって、ディーノさんの事はそんなに嫌ってないんだね」

コウからの暑中見舞いだと、桃を箱で抱えてきた獄寺。
彼女が来たのかと問うと、跳ね馬が預かってきたと答えてくれた。
そんな彼に対しての、ツナからの言葉。
獄寺は不貞腐れたように口を結んだ。

「好きじゃないです」
「そうなんだ?」
「でも…約束ッスから」
「約束?」
「…俺、コウが跳ね馬と結婚するって聞いた時、滅茶苦茶反対したんですよ」

あぁ、そうだろうね。
声には出さなかったけれど、納得するツナ。
寧ろ、彼女が無事に結婚できたことが不思議だ。

「で、いっそキャバッローネを爆破しようとした俺に、アイツがサシで話そうって言って―――」
「(爆破しようとしたの!?)………うん、それで?」
「………」

―――コウの笑顔も心も、全部守る。必ず幸せにする。だから、コウのために認めてくれないか?

頼む、と頭を下げたのは、キャバッローネのボスではなかった。
コウの全てを、その生涯をかけて守ると誓った、ただ一人の男。
小さな自尊心のために意地を張る自分があまりに小さくて、情けないと思った。

「…まぁ、色々あって…一家を背負うボスらしい奴だってわかっただけッス」
「………そっか。認めてるんだね」
「…アイツは、約束はちゃんと守ってますから。俺は、コウが笑っていられるならそれでいいんです」

自らの出生を知り、離れようとした獄寺を、彼女はずっと受け入れ続けた。
酷い言葉を吐いた事だってあったのに、ただの一度も諦めず、その手を差し出し続けてくれた。
姉と言うよりは、母に近い愛情を注いでくれた人。

「でも、コウがアイツに泣かされるなら、容赦なくダイナマイトをぶっ放してやりますよ!」
「笑顔で言う事じゃないよね!?でも…きっと、そんな事にはならないと思うよ。ディーノさんだからね」
「…そうッスね」

不本意そうにしながらも頷く獄寺に、ツナは小さく笑う。
何だかんだ言って、やっぱり認めているんだなと思った。

獄寺 隼人 / 獄寺くんのお姉さんシリーズ

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11.07.27