071.紙一重の恋情

同じ血を分けた双子と言うのは不思議なもので、他人には理解できないような繋がりを持っていたりする。
それは、親や兄弟との繋がり以上に深く、そして強い。

「間違いを起こしてしまっても、仕方がないのかもしれないわね」

一滴の血を流す事もなく、仕事を終える。
眠るように息を引き取った依頼人たち。
同じであるが故に惹かれ、感情を止めることが出来なかった―――そんな二人の、最期。
この依頼が私たちに届いたのは、ある意味では運命だったのかもしれないと思う。

「何が?」
「他人の中から存在するかどうかも分からない片割れを探すよりも、目の前の片割れを愛する方が遥かに楽って事」
「ああ、そう言う事」

私が、この二人の気持ちを理解できたように、イルミもまた、感じるものがあるのだろう。
普段は他人の感情なんて理解しようともしない彼が、頷いたのだから。

「私も…彼がいなければ、あなたに惹かれていたかもしれない。ううん、彼がいる今でもきっと、あなたが一番近いと思う」

だからこそ、彼は懸念し、警戒するのだろう。
イルミは片割れだからと既に諦め、割り切っている部分もあるようだが。

「一番近くて当たり前でしょ。始まりが一緒なんだから」
「そうね。…私、イルミに恋人が出来て…耐えられるのかしら」

女の影すら見えなかったから、考えた事もなかったけれど。
イルミの隣に自分以外の誰かが立つ事を想像すると、胸の辺りがムカムカしてくるのだ。
恋人を持つ自分が言える事ではないはずなのに。

「大丈夫だよ」
「そう、なの?」
「うん。興味ないから。君以上に俺を理解する女なんていないよ」

その言葉は嬉しくもあり、彼の未来を狭めているのではと不安にもなる。
けれど、彼がそう言うのなら、今はその言葉を素直に受け止めておこう。
そして、“いつか”の時に備え、心の準備だけは進めよう。

寄り添うように眠る二人を一瞥し、イルミと並んでその屋敷を後にした。

イルミ=ゾルディック / Carpe diem

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11.07.21