030.どうぞ笑って、滑稽なわたしを
―――落ち着いてよーく考えてみろよ。
シャンクスの言葉を思い出し、短い溜め息を吐き出す。
この件に関しては、大人な彼よりは年相応に感情で動いているかもしれない。
それは否めない事実だけれど、落ち着け、なんて言われたくなかった。
いつだって、私は自分の感情に冷静に向き合っているから。
向き合い、理解して…それでも、彼の隣にいたいと思う。
「シャンクスが…いくつだっけ。33?」
彼らが村を出たのが6年前だから、と彼の年齢を考える。
そこから、指折り数えてみて…自分の行動に、溜め息が零れた。
何度数えようと、結果が変わる事はない。
父親ほども歳の離れた彼を男として見ていること自体、おかしいのかもしれない。
けれど…それでも。
「好きなんだから、仕方ないじゃない」
子供と言う表現を裂ければ、少女としか言いようがない自分。
子供のような言動をしていても、実年齢を生き、経験も豊かな彼。
想いを寄せる事すらも、どこか滑稽に思えた。
いっそ、もう二度と彼と関わらないような島に置いて行ってもらった方がいいのかもしれない。
初めは辛くとも、いずれシャンクスを忘れて…幸せに、なれるだろうか。
瞼を閉じて浮かべた未来予想図の中の自分は、どう頑張っても笑顔にはならなかった。
「シャンクスがいないのに…幸せになんて、なれないよ…」
苦しいし、切ない―――けれど、それ以上に、幸せだった。
その言葉一つで浮き沈みする感情は、私に“生きている”と実感させてくれる。
「ごめんなさい、シャンクス。困らせても…やっぱり、あなたが好きなの」
リボンの端にそっと唇を触れさせ、小さく呟いた。
シャンクス / Black Cat