019.甘い痛みの正体

ちくりと小さな痛みを感じ、緩慢な動きでそれを振り払う。
しかし、逆に腕を緩く掴まれ、引っ張られた。
薄く開いた視界に入る、赤い髪。

「シャン…?」

丸い窓から差し込む穏やかな日差しが赤い髪を照らす様子は、素直に綺麗だと思う。
自由な方の手を伸ばして指先にその赤を絡め取ると、見下ろしていた彼が小さく笑った。

「起きたのか?」
「ん…」

掠れる声でおはよう、と告げると、返事と共に額への柔らかい口付け。
こうして彼の腕の中で朝を迎えるようになって、どれくらいの時が経ったのだろうか。
初めの頃こそ生き急ぐかのように忙しかった鼓動も、今となっては寧ろ穏やかなほどだ。
今この瞬間を堪能するかのように、時間そのものが緩やかに流れているようにさえ感じる。

シャンクスの手が剥き出しの肩を撫でる。
くすぐったさに身を捩ると、彼は何かを辿るように指を動かした。

「何?」
「…ん?あぁ…気にすんな」

何でもない、とまるでそうは思えない表情で告げる彼。
指先が素肌を滑り、首元に巻いたリボンをくるりと絡める。

「そろそろ起きるか?」
「…うん」
「起きられるか?」
「大丈夫よ」

彼の問いかけが何を指しているのか、その意味に気付いてほんの少し色付く頬。
誤魔化すように上半身を起こしながらシーツで身体を隠す。
着るもの、と視線を動かしたところで、差し出されたシャツを受け取って袖を通した。

「…お前、白いから赤がよく映えるな」

ニヤリと口角を持ち上げるシャンクスに、そう?と首を傾げる。
赤いリボンを褒められるのは今に始まった事ではないけれど、やはり褒められれば悪い気はしない。
朝飯に行くか!と部屋を出ていく彼を見送り、シャワールームへと歩く。
そして、鏡に映る自分を見て漸く、彼の言葉の“本当の意味”を理解した。

シャンクス / Black Cat

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11.04.12