015.ぬくもりの在り処

日本とは違うテレビ番組。
別に目的のチャンネルがあるわけではないけれど、何となく音が欲しくてつけっぱなしにしていた。
順番にシャワーを済ませて、後は寝るだけのゆったりとした時間。
暑くも寒くもない過ごしやすい室内で、一つのソファーに並んで座る。
見るともなくテレビに視線を向けて、随分と馴染んできた異国の言葉を右から左へと聞き流す。
拳一つ分を空けて隣り合うぬくもりが、当たり前になってきていて、同時に何だかとても愛おしくて。
隙間をゼロにして、ことりと彼の肩を借りる。
リモコンを持つ手を止め、こちらを見る翼の視線。

「何?」
「何でもなーい」

気にしないで、と口元を隠して笑う。
変なの、と呟く声が聞こえたけれど、その声には負の感情はなく、寧ろ優しさだけが溢れていた。
それがまた嬉しくて、クスクスと笑う。
何かが楽しいわけではない。
そう、これはきっと、幸せなんだろう。
日本で翼の家に居候していた時とは違い、自分たちの力で進めていく日常は、新鮮味に溢れている。
当然、色々な苦労も付きまとうけれど、力を合わせれば乗り越えられた。
ここでの生活も、慣れてきたと言えるだろう。

「今度の休み、出かけたいな」
「いいよ。どこに行きたい?」
「海!」
「ん。道、調べてる時間ある?」
「うん。大丈夫。やっとくよ」
「じゃあ、任せる」

全部を翼に任せることなく、分担する事も覚えた。
学生時代の恋人関係よりは、一歩前進できていると思っている。

―――頼られるって幸せな事なのよ。

玲が言っていた言葉を、実感した。

椎名 翼 / 夢追いのガーネット

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11.04.05