002.恋と愛の狭間のすれ違い
好きなんだ。
そう言った綱吉の言葉が、家族への想いではないと気付いた。
何となく、気付いていたのかもしれない。
知らない振りをしていただけで、あの子の目はいつだって、優しく…そして、熱く、私を見つめていたから。
何も言えないと思った。
ただ、考える時間が欲しかった。
そんな私に、綱吉は小さく笑って、待つと言ってくれた。
時間が欲しいと言った以上、答えを出さなければいけない。
弟だから―――それは決して、理由にはならないから。
あの子は自分の立場も私との関係も、全てを理解した上で、それでもその内にある想いを伝えてくれた。
私が、姉ではなく女として傍にいる事を望んでくれたのだ。
綱吉を弟ではなく、男として見ることが出来るのか、否か。
自分の感情と向き合わなければならない日が来た事を、自覚した。
「…難しいわね」
きっと、もう答えは出ている。
あの日、マフィアに誘拐され、助けられて…自分の出生を知って。
綱吉を巻き込みたくない、あの子には平和な世界で生きてほしいとそう願った。
その感情は、弟を思う姉のものとして語るには、少しばかり意味を含みすぎるものだったから。
それでも、すぐに彼に答えを返せないのは、私が弱いから。
家族としてのこの関係が変化する事を、恐れている。
彼ら以外の家族は、私には残っていないから。
綱吉の隣を望むためには、大きな覚悟をしなければいけないと思った。
かつて綱吉を守りたいと思った気持ちは、恋だったかもしれない。
それなら、今この胸にある感情は、何なのだろうか。
「…愛、と呼べるのかしら」
わからない。
けれど、その言葉を口にした時、私の胸が小さく熱を持ったのを感じた。
沢田 綱吉 / 空色トパーズ