100.あの日君と見た空は、怖いくらいの蒼だった
「いい天気だぞ!!絶好の船出日和だ!!」
家を飛び出し、大きく伸びをしたルフィ。
今日、私たちは育ったこの島を出発する。
ルフィの夢―――海賊王への、一歩目を踏み出すために。
「天気もいいけど、早くしないとマキノさんが待ちくたびれて朝ご飯片付けちゃうと思うよ?」
「あ!!そうだな!」
行くぞ、と私の手を取って走り出すルフィ。
野生児と言っても過言ではないルフィにあちらこちらと連れまわされ、修行に付き合う事、数年。
大人しい、なんてお世辞でも言われなくなってしまった。
言ってほしかったわけじゃないから別に構わないけど―――「昔はあんなに可愛かったのに」なんて言って目元を押さえられるのはちょっと微妙な気分。
酒場までの短い道、頭の上から私たちを照らす太陽。
この道を歩くのも、今日で暫くお別れなんだと思うと…やっぱり、寂しかった。
少しだけルフィの手を握る力を強くすると、それに気付いたルフィがきょとんとした目を私に向けた。
たぶん、これから待ち受ける日常に胸を躍らせているルフィには、寂しいなんて言う思いはないんだと思う。
あるのは、未来への期待。
私は、振り返ることなくただただ前を向くルフィと一緒に歩いて行けるんだろうか。
今からこんな調子になってしまう自分に、少しだけ不安を抱いた。
そんな私の心中を悟ったわけじゃないと思う。
けれど、ルフィは私を安心させる―――いつもと何一つ変わらない笑顔を浮かべた。
「楽しみだな!」
そう言って、ルフィが笑うから。
何の迷いもなく私の手を引いてくれるから。
「…うん!」
ルフィと一緒なら、世界の果てだって目指していけると思った。
モンキー・D・ルフィ / Black Cat