098.あの時二人で交わした約束は、今はもう消えてしまった

チームの練習が終わり、それぞれが自主練習に移る。
ここから先の参加は自由。
それでも、殆どのメンバーが最後を競うように長く続けて、結局は練習場の管理人に止められて終了。
そんな毎日。

汗を流して服を着替えて。
荷物をまとめて外に出ると、待合のソファーに成樹がいるのが見えた。
スポーツドリンクを片手に、のんびり過ごしている彼に足早に近づいていく。

「お待たせ」
「おー。ほな帰ろか」

指先でくるりと車のキーを回した彼が立ち上がる。
空になっていたらしい缶をゴミ箱へと放り投げ、歩き出した。

「今日はいい天気だなぁ」

建物の外に出ると、見上げた先には満天の星空があった。
練習場は町から少し離れた場所にあって、街灯が少ない。
故に、夜はちゃんと暗く、星を見上げるには絶景の場所だ。

「…せやなぁ」
「掴めそう」
「そら流石に無理やで」

笑いながら車のロックを開け、荷物を後部座席に放り込む。
彼と同じように荷物を後ろに置いて、助手席のドアに手をかけ…再び、空を仰いだ。

「掴めなくても、掴もうと努力する事は無駄じゃない」
「…せやな。無理や思てた約束も果たせたわけやし」

何の話なのか、彼にはすぐに分かったらしい。
同じフィールドで。
昔交わした約束は、数年前に果たされた。
今はもう、新たな目標を持って進んでいる。

「世界はまだまだ遠いなぁ…頑張れ、日本!」
「そう言うとサポータ側みたいやん。頑張るんは俺らの仕事やでー」
「そりゃそうだ」

今はまだ遠いけれど。
いつかきっと、この手で掴み取れると信じて。
そして今日も前へと進む。

藤村 成樹 / Soccer Life

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11.03.11