079.どうしても出口が見つからない、此処は迷路の中なのかしら
「うーん…参ったなぁ…」
高々と聳える壁、もとい木の根を見上げ、ぽつりと呟く。
ルフィの冒険大好き探究心が爆発するような島に辿り着いたのは昨日の事。
育ちが育ちなだけに、彼はジャングルへの一歩を躊躇わなかった。
当然のように彼女を連れ、日暮れまでには船に戻ると言い残して意気揚々と出発した。
もちろん、仲間たちは全力でそれを止めていたけれど、生憎その程度でルフィの行動力を止められるはずもなく。
暫くは彼と一緒に行動していたのだが、驚くほどに巨大なワニ?ライオン?とにかくそんな感じの猛獣に襲われ、二人は別方向へと散り、難を逃れた。
…そう言えば、あれは何だったんだろう。
とにかく、そうしてルフィと別れてしまった彼女は、戻るに戻れない天然の迷路へと迷い込んでしまった。
「猫になれば登れない事もないけど…」
疲れそうだなぁ、と壁を見上げる。
どんな栄養を与えればこんな風に成長するのかは知らないけれど、とにかくご立派な木の根っこがぐちゃぐちゃに入り乱れた場所。
「…ナミに怒られる。絶対怒られる」
空の色がもうすぐ日暮れなのだと教えてくれている。
帰ってこれるわけないでしょ!!と言う怒鳴り声が聞こえていたから、絶対怒られる。
間違いない。
心配してくれているのはわかっているけれど、怖いものは怖いのだ。
「やっと見つけた!」
「え?あ…ルフィ!!」
真上から声が聞こえて顔を上げた先に、ルフィがいた。
ゴム人間である彼にとっては、この程度の壁は壁ではないらしい。
闇雲に走り回るのではなく、上から探してくれていたようだ。
流石船長、頼りになる。
そもそもの原因が彼だと言う事は、忘れてあげる事にしよう。
「どこに行ったのかと思ったぞ!」
「私だって!ルフィはひとりでひょいひょい木の上を飛んでっちゃうんだから」
「あのままじっとしてたら食われてたからな!」
悪びれた様子がない所も彼らしい。
けれど、その笑顔のお蔭で、身体の芯まで安心している自分に気付いた。
本当は少し、心細かったのかもしれない。
「ルフィ、ありがと。探してくれて」
改めてそう言うと、彼はきょとんとした顔をする。
「当たり前だろ!」
その笑顔が眩しかった。
モンキー・D・ルフィ / Black Cat