078.叶わないとわかっていても、願ってしまう
「あなたには素敵な人を選んであげますからね。ほら、この子なんてどうかしら」
美しい母親は、やはり美しい笑顔で、残酷な事を口にした。
とても強そうよ、と言う母の言葉の通り、釣書と共に置かれた写真の男の子は“とても強そう”だ。
しかし―――と思う。
「強けりゃいいってもんじゃないのよ!!」
母が去り、一人になった部屋の中で、思わず声を荒らげる。
ゼィゼィと肩で息をするほどに声を張り上げたのは何年振りだろうか。
それほどの衝撃だったのだと察してほしい。
「何を騒いでるの?」
「イルミ!聞いて!!」
声を聞きつけたのか初めから来るつもりだったのか。
部屋に入ってきたイルミに、勢いよく写真を見せる。
きっと、\自分の片割れならこの遣る瀬無い気持ちを理解してくれる。
そう思っていたのだが。
「ふぅん…母さんが気に入りそうな感じに強そうだね」
「…それだけ?」
「他に何かある?」
さも当然のように問われ、逆に自分がおかしいのだろうかと思ってしまった。
もう一度改めて写真を見て…やはり、視力は変ではないと頷く。
「よく見て!」
「…まぁ、君の隣には不釣り合いだよね」
「そう!それよ、それ!」
一番大事だと思わない!?と息巻く彼女に、イルミは首を傾げる。
「一番だとは思わないけど。強いだけじゃ駄目なの?」
「どう考えても許容外!」
「ふぅん…そう言えば、母さんが次の電話をしてたよ」
次は納得できる相手だといいね、なんてまるで他人事だ。
元々、子供らしくない子供だと言う自覚はあったけれど、それをはっきりと意識したのはこの時からかもしれない。
この日、彼女は母の言うことを鵜呑みにしていたら駄目だと自覚し、自立しようと決意した。
??? / Carpe diem