074.海の青と空の蒼、同じ青い色なのに何処か違う

「空って言うよりは、海みたいだよね」

胸元のリングを指先で拾い、そう呟く綱吉。
何が?と問うと、彼は「君が」と短く答えた。

「こうして空のリングを持っているわけだけど…もし、海のリングがあるなら、君が一番相応しいと思うよ」
「…そう?自分ではよくわからないけれど」
「広くて深くて…時々、泣きたくなるくらい、懐かしくて、優しくて」

彼女の前では、どんな自分でも許されるんじゃないかって思う。
一番自然体でいられる場所。

「………」
「あれ、どうかした?」

ふい、と視線を逸らしたままの彼女に気付き、顔を追おうとするも、うまく逃げられてしまう。
そこで初めて、彼女が視線を逃がしているのだと気付いた。

「…綱吉…あなた、自分で言っていて恥ずかしくないの…?」

消え入りそうな声で言う彼女の頬は耳まで赤い。
彼は普段からあまり本心を隠したり偽ったりしない人だけれど、こんな風に褒め言葉を素直に並べる事も少ない。
褒め慣れていない、と言うべきだろうか。
それなのに、こんな時だけあまりにも正直に、あまりにも自然に言葉を並べてくれるから…聞いているこちらの方が、恥ずかしくなってしまう。
イタリアの土地柄、そう言う事には慣れているはずの彼女も、頬を赤くしてしまう程だ。

彼女の言葉がよくわからないのか、彼は不思議そうな表情で首を傾げていた。
そんな彼に、「綱吉らしい」と苦笑する。

「わからなくていいの。…あなたにそう言ってもらえると嬉しいわ」
「…そう、なの?」
「ええ。誰に褒めてもらうよりも…自然体で、だからこそ素直に受け止められるの」

下心のない褒め言葉は、過ぎるほどに真っ直ぐだ。

「ねぇ、知ってる?」
「何が?」
「私も…あなたと一緒にいる時が、一番自然体でいられるの」

そう言って幸せそうに微笑む彼女の前では、頬を赤く染め上げる以外の反応なんて、出来るはずがなかった。

沢田 綱吉 / 空色トパーズ

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11.02.03