062.どうしてそんなに先を急ぐの、終わりはみんな同じだというのに
表でそれなりに会社を大きくした人は、裏では口では語れないような事をしていたりする。
そればかりではないけれど、そう言う人が多い事も事実だ。
そして、私たちが受ける依頼の大半は、そう言う所から生まれる。
今日も、有能で少し強引過ぎた経営者が一人、この世を去った。
「悪事に手を染めなければ、もう少しは長生きできたのに」
迷いのないイルミの手により事切れた男を見下ろし、そう呟く。
恨まれるような事をしなければ…相手死んだ今、そんな事を言っても仕方がないけれど、そう思う。
「それって俺たちにも言えるよね。たぶん、碌な死に方しないよ」
笑うでもなく、イルミは淡々とそう言った。
そんな彼の言葉に、確かに、と思う。
私も彼も、血が洗い流せないものだったなら、この手と言わず全身を真っ赤に染めているような人間だ。
そんな私たちが、他人の事をとやかく言うべきではなかったのかもしれない。
「結局、行き着くところはこの人も私たちも同じなのよね」
天国や地獄があるとは思っていないけれど、もしどちらなのかと問われたら間違いなく後者だと答えるし、実際落とされるのはそちらだろう。
依頼の中についでのように書かれていた契約書を探しだし、中身を確認してから火をつけて灰皿の中に落とす。
何でも屋と言うわけではないのだから、契約の後始末まで任せないでほしいと言うのが本音だけれど、イルミならば頷かない事を知って私と一緒にと言った依頼人なのだから、仕方ない。
燃えるそれを見届けている間に、イルミは廊下へと出て行った。
「じゃあね―――地獄で会いましょう?」
物言わぬ男にそう言い残し、私もイルミの後を追った。
イルミ=ゾルディック / Carpe diem