060.答えなんて何処にも無い、あるのはただ
どうして。
幾度となく、聞かれた、問われた。
その度に、こちらが聞きたいと心中で苦笑する。
どうして、彼だったのか。
どうして、彼以外ではいけなかったのか。
きっとその答えは、何処にも存在しないのだろう。
あえて答えを探すのならば―――どうしても、彼でなければならなかった、ただそれだけ。
「理由なんて…必要ないわ」
簡素な部屋の中、手首の枷をそのままに独り、悠久の時を過ごす。
今はまだ、老いる事も死ぬ事もない自分は、どこへと向かうのだろうか。
答える者のいない部屋の中、静かに庭の木々を見つめる。
雪が溶ければ、やがて春が訪れるのだろう。
「…私は…あなたの傍にいられたら、それ以上何も望まなかったのよ…?」
わかっていたはずなのに、その唯一の望みすら叶えてくれなかった人。
酷い人だと思うけれど、でも―――
「…愛しているなんて、誰も理解できないでしょうね」
どうしてなんて答えはない。
ただ、彼を愛している。
今も、きっと…これからも。
藍染 惣右介 / 逃げ水