044.あなたに伝えたい事が沢山あるのに、言えないの
動くことを知り、立つことを覚え、言葉を学んだ。
そうしてすくすくと成長する我が子を、月に一度、写真に収める。
毎日にするべきよ、と言うルッスーリアの言葉に首を振り、月に一度と決めていた。
それは、写真を撮る理由が、いつの日か彼が我が子の成長を見つめることが出来るように。
頻度を低くしたのは、カメラを構えると、否応なしにその写真の理由を思い出し、連なるようにしてXANXUS様がいないことを思い出してしまって…切なくなってしまうから。
月に一度。
それが私の限界であり、この子の成長を記録する最長の期間でもある。
それ以上になってしまうと、子どもは成長し過ぎてしまう。
写真の一枚をアルバムに挟み、ひと月の日々を振り返る。
順調に成長する彼は今日、自ら望んでスクアーロを師とした。
訓練を始めたのは、私が訓練を始めた時期よりも半年遅れだ。
けれど、ここの連中は手加減を知らないから、丁度いいのかもしれない。
スクアーロだけではなく、他の幹部もまた、自らの得意分野で師事する事になっている。
一日見ていたけれど、そのセンスは恐ろしいほどだった。
流石に、私とXANXUS様の血を引いているだけのことはある。
実家に残っていたとすれば、間違いなく家を継ぐことになる逸材だ。
100年に一度の才能だと感じるのは、親の欲目ではないだろう。
「大きくなったわね…」
月に一度とは言え、その枚数は1枚ではない。
分厚いアルバムは、既に5冊を超えている。
その中には、段階を追って成長する我が子の記録が残されていた。
いつの日か…このアルバムが役に立つ日は来るのだろうか。
鍵のついた本棚のガラス戸の中に、アルバムを片付ける。
貴重な品がしまわれているわけでもないのに、品よく飾られた鍵でしっかりと施錠する。
まるで、他の誰にも触らせたくない、宝物をしまい込んでいるかのようだ。
そう考えた自分自身に苦笑し、鍵をいつもの場所に置く。
クッションの良いベッドに上がり、キャビネットの上からXANXUS様の銃を持ち上げる。
残っているはずのない体温を探し、膝の上でそれを抱きしめた。
いつか、いつの日か―――誤魔化す事で、日々をやり過ごす。
あと何度、眠れば、心に巣食う夜が明けるのだろう。
そんなことを考えながら、そっと瞼を伏せた。
XANXUS / Bloody rose