043.あの時、君は確かに僕の隣に存在していた
照りつける太陽のまぶしさに目を覚ます。
ゆっくり開いた視界に、青空が映り込んだ。
日陰で眠っていたはずなのに、いつの間にか傾いた太陽が、これでもか、とばかりに成樹照らしていた。
「眩しいなぁ…そう思わ―――」
隣にいるはずの人物に、そう声をかけた。
開いた口は、言葉半ばで固まってしまう。
顔を向けたそこには、誰もいなかった。
いるはずがなかったのだ。
「…懐かしい夢の所為やな」
ガシガシと金髪を掻き、苦笑する。
中学生のあの頃、毎日が充実していた日々。
その夢の所為で、起きた後も自分の隣には彼女がいるような気がしていた。
いや―――夢のお蔭で、と言うべきなのかもしれない。
覚めた時の寂しさは切ないけれど、それでも優しくも懐かしい夢だった。
「…頑張っとるんかー?」
そう大きくない声で、大空に向かって問いかける。
海を越えた遥か先、この広い空だけは、彼女と繋がっている。
一度も連絡はない。
成樹からも、連絡はしていない。
「俺も頑張るから、自分も頑張りや」
我武者羅ではなく、一生懸命。
そうして、“いつか”を夢見て進む日々。
きっと、彼女も自分と同じように進んでいるはずだ。
彼女との再会の時、彼女が進んだ道に恥じぬよう、精一杯を生きる。
簡単なようで難しいけれど、出来ていると感じるのは、この空の向こうの彼女を信じているからなのだろう。
答えのない空を見上げ、成樹は満足げに笑う。
そして、ひょいっと身軽に立ち上がると、そのまま屋上を後にした。
―――頑張ってるよ。だから…一緒に頑張ろう。
重いドアが閉じる直前、聞こえるはずのない声が聞こえた気がした。
藤村 成樹 / Soccer Life