027.檻の中にあなたを閉じ込め、私は漸く安心する
いっそ、あなたの目が何も見ぬようにと―――宝物のように、どこかにしまい込んでみようかと。
そう考えたことは、一度や二度ではない。
けれど、そう考える度に、それが不可能な願いなのだと思い知らされる。
あなたは既に、私が手を伸ばしていい存在ではないのだから。
あなたをどこかにしまい込むことが出来ないならば、せめてあなたを想う心を閉じ込めてしまおう。
決して開くことのない、鍵のない檻の中へと。
「―――…そう、できたらいいのにね」
一人の部屋の中、小さく苦笑する。
あなたを想う心だけを切り離すことができるなら―――こんな感情を抱くこともない。
あの人が存在しなければと、そんなことを考えてしまう自分が恐ろしい。
こんな自分はいらない。
こんな感情はいらない。
身を切られるような苦しみの渦中にありながらも、出会わなければとは思えなかった。
悲しくて、苦しくて…とても辛い。
けれど、幸せだった記憶があるから。
あなたの隣で笑い、いつかの日を夢見たあの頃は…とても、幸せだった。
「いつか…これも良い思い出だって思える日が来るのかしら」
笑顔で今日と言う日を振り返る…そんな日が来るのだろうか。
独白を聞いてくれていた月だけが、優しくあたたかく見守ってくれていた。
朽木 白哉 / 睡蓮