021.あなたの傍にいるのが私ではない、それが少し辛いです

―――あんな風に笑う人だったんだね。

小さく呟いた少年に、スクアーロが目を細めた。
少年が見つめる先には、XANXUSと、そして彼女がいる。
恐らく、少年の目に映っている彼女は、母親ではなく一人の女性だ。
母としての姿だけを見てきた少年にとっては、まるで別人のように見えているのかもしれない。
他人の感情にそこまで敏感ではないスクアーロですら、少年の心中は十分に察することが出来た。
色々と複雑だろうな―――そんな思いを込めて、少年の頭にポンと手を載せる。

「慣れるしかねぇぞ」
「…別に、そう言うんじゃないけど」

少年はそう、口ごもる。
年齢的に言えば、親離れにはまだ少し早いかもしれない。
しかし、XANXUSは少年が彼女に甘えるのを許さないだろう。
あれで中々彼女を大切にしている―――傍目には、わかり難いけれど。

「初めての父親はどうだァ?」
「………俺、本当はスクアーロが親父なんじゃないかって思ってた」

ぽつりと零した言葉に、おい、と頭を掴む。
口元を引き攣らせて少年と目線を合わせた。

「冗談でもXANXUSに言うんじゃねェぞ!?」

彼の耳に届いた日には、飛んでくるのはウィスキーボトルなんて可愛らしいものではない。
本気で殺そうとしてくることは必至だ。

「わかってる。あの人を見れば…嫌でも理解するよ」

だって、似すぎてる。
少年本人ですら、そう思うほど少年はXANXUSによく似ていた。
そう言う問題でもないのだと言う切実な思いは、残念ながら少年には理解できなかったようだ。

「母さん、笑ってくれてたと思ってたんだけど…違ったんだね」
「…お前はちゃんと大事にされてる。ただ、惚れた奴に見せる顔は違うもんだ」

いずれ、この少年もそれを知る時が来るだろう。
スクアーロは小さく笑った。
そんな彼に頭を撫でられていた少年が、彼を見上げる。

「スクアーロにはそう言う人はいないの?」
「…………………」

子供らしい純粋な、けれど中々に痛い切り返しだった。

ジュニア / Bloody rose

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