017.どんなことがあっても、きっと君を見つけるから
何度も、何度も夢に見る。
声が枯れるほどに呼びたいはずの名前は声にならず。
千切れても構わないと伸ばした腕も、彼女には届かない。
その姿さえ朧気で、存在するのかどうかも危うい。
そんな彼女の背を、何度も追い続けた。
「…また、君か…」
真夜中に目を覚ました蔵馬は、室内で一人、そう呟く。
この夢を見た後は決まって、眠れなくなるのだ。
まるで身体の半分を失っているような―――不完全な自分が、ここにいる。
いや、実際に身体のどこかが欠けているわけではない。
言葉で説明するのは難しいけれど…喪失感が、常に傍にあるのだ。
「君は一体…?」
―――蔵馬
ふわりと笑う口元。
自分を呼ぶ、甘い声。
そこにいるのに、決して手に取ることはできない――― まるで、月のような女性。
「…知りたい。…君に触れたい」
君を、愛したい。
今夜もまた、届かぬ月に焦がれ、ただ時間が過ぎていく。
南野 秀一 / 悠久に馳せる想い