084.占術

「ねぇ、アミィ?今日は妙に女の子たちが落ち着かない気がするんだけど…」
「え?あぁ…きっと、コウさんが占いをしているのね」
「コウさんが?」
「ええ。彼女の占いはよく当たると女の子たちの間で噂になっているのを聞いたことがあるわ」
「へぇ…そうなんだ!」
「私の場合は星を読む占星術だけれど、彼女は水を読むと聞いたことがあるの」
「水?」
「私も詳しくはわからないわ。気になるなら聞いてみたらどうかしら」
「うん!そうするわ!」
「あ、今は忙しそうだからまた後の方が………って、もう聞こえないわね」





「―――そうね。あなたたち二人の仲は、悪くはないと思うわ。けれど…これ以上の進展には何かきっかけが必要ね。そう、たとえば…休日」
「休日にデートに誘えば成功しますか!?」
「それはあなた次第、ね。頑張って」
「は、はい!!」

彼女の言葉に励まされたらしい女子生徒が、顔を赤くしてお礼を告げた。
そして、友達と一緒になって慌ただしく立ち去っていく。
一人が終わって、また一人。
きりがないな…と思いながら周囲を見回したところで、コウはルルの姿を見つけた。
これ幸いと立ち上がったコウが、ルル、と彼女を呼ぶ。
そして、まだ周囲に残っている女子生徒たちに困ったような笑みを向けた。

「ごめんなさい。迎えが来てくれたみたいだから…そろそろ行かないと。また今度ね」

そういうと、彼女らは残念そうに肩を落とした。
しかし、連れが来るまでと言ってあったおかげで、ぽつぽつと解散する彼女たち。
最後の一人が背を向けたあたりで、ルルが到着した。

「あれ?もう終わりですか?」
「ええ。きりがないから。それより、何かあったの?」
「えっと…コウさんが占いが得意だって聞いて、それで…」
「詳しく聞きたくなったの?あなたも女の子ね」

クスリと笑い、コウは席に着いた。
そして、向かい側を示してルルに着席を促す。

「でも、もう終わりなんじゃ…?」
「特別に、ね。さて…あなたは私の占いをどんなものだと聞いてきたのかしら?」
「アミィからは、水を読むんだって聞きました」

そう言ったところで、ルルの視線がテーブルの上に動く。
その場にある水と言えば、ガラス製のグラスの中に半分ほど入った水だけ。
他には何もなく、彼女はあれ?と首を傾げた。

「私の占いと言うのは…相手が求める答えを、その人格や人脈と言った要素から可能性の高さで判断して、助言するものよ」
「…えっと…」
「要するに、私なりの人間分析の結果を告げているだけ」
「そうなんですか!?」
「まぁ、星を読むのと同じように、水を読むことはできるけれど…彼女たちの悩みと言うのは、大抵は話を聞けばすべきことが見えてくるものばかりだから。要するに、カウンセリングのようなものね」
「そ、そうなんだ…」
「がっかりした?」
「え!?す、少しだけ…でも、それはそれで興味あります!」
「ふふ。じゃあ、あなたの悩みを聞かせてくれる?」
「はい!…えっと……………………あれ?」
「何を悩んでいるかも考えずに来てくれたの?変わった子ね」
「ええっと………」
「じゃあ、悩みが浮かんだ時にまたいらっしゃい。私流の占いで導いてあげる」
「ううう…じゃあ、そうします」

顔を赤くして反省する彼女はとても可愛らしいと思う。
彼女がどんな悩みを持ってきてくれるのかが、少し楽しみになった。

【 084.占術 】  ルル / Tone of time

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10.08.12