047.都市

「この町も、随分と都市化が進んだわね」
「そう?」
「駅前の賑わいを見ているとそう感じるわ。私が向こうで過ごしていたのはボンゴレの別荘地だったから…尚更そう思うんでしょうね」
「別荘地?」
「ええ。山の中にぽつんと建っている洋館よ。日中は良いのよ、木漏れ日なんかがとても綺麗だし、空気は美味しいし。でも、夜は闇。遠吠えが聞こえていたわ」
「遠吠えって…狼!?」
「ううん、ただの野犬。流石に狼はないわよ。もう少し奥に入ったらいたかもしれないけれど」
「そ、そっか…」
「何不自由なかったけれど、こんな風に交通量の多い道路とは無縁の生活を送っていたから…何だか、山から下りてきた動物の気分よ」
「動物って…そんな風に見えないけど」
「そりゃ、精一杯取り繕ってるからね」
「そうなんだ。何か意外だな…。姉さんってどんなものでも簡単に受け入れられそうな気がする」
「そんな事ないわ。戸惑う事も多い。順応するのが早いだけ。諦めとも言えるわね」
「………」
「やだな、そんな深刻な顔をしないで。人間、諦めが肝心って言うでしょ?」
「…うん、そうだね」
「………ねぇ、綱吉。一緒に駅前に行かない?美味しいクレープ屋さんがあるんだって」
「いいけど…甘いもの好きだっけ?」
「嫌いな女の子って少数派じゃない?」
「そっか。そう言えば京子ちゃんやハルもケーキ大好きだっけ」
「ケーキを食べる日があるんだって?」
「らしいね。知ってるの?」
「この間の日曜日、一緒に行きませんかって誘われたわ。先約があったから今度にしてもらったんだけど」
「…日曜日って、忙しかったの?それならランボたちの面倒見るのは俺に任せてくれてよかったのに…」
「お母さんがいないから一緒に面倒見るって約束だったでしょう?別の用事が出来たからって放り出したりしないわ」
「…ありがと」
「どういたしまして。さ、遅くなる前に出掛けましょ!」

【 047.都市 】  沢田 綱吉 / 空色トパーズ

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10.05.31