022.足枷

距離を置きましょうか。

そう言った私に、恭弥は訳がわからないと言った表情を浮かべた。
私と言う人間が彼の傍にいない方が、思うように動けるのかもしれないと思ったのがきっかけ。
何故そう思うに至ったのか…理由は色々とあるけれど、私が彼の行動に口を出したくなるのが一番大きいと思う。
色々と制限するような事も言ってしまう私の存在が、彼にとっては良くない物なのでは、と思ってしまったのだ。

「―――それは必要な事?」

恭弥がそう問う。
別の意図を含んでいるわけではなく、本当にわかっていないようだ。

「私が居ない方が自由に動けるでしょう?」

質問に質問で返すのは卑怯と知りながらも、そう問い返す。
彼は少しだけ悩むような間を置いて、ゆるりと首を振った。

「僕は今まで自分の思い通りに動かなかった事はないけど」
「…私が色々と言うの、煩いとは思わないの?」
「弱い小動物がキャンキャン喚くのは不愉快だけど…君の場合は力が伴うからね。それに、君の視野の広さは風紀委員の頃から役に立ってるよ」
「――――」
「…何、その驚いた顔」
「恭弥…私の事そんな風に思ってたの?」

驚き。
それ以外に、この感情を表現する言葉が見つからない。
何も言わない彼だから、私の事をどう思っているかなんて知らなかった。

「…私はあなたの枷になっていない?」
「寧ろ、君が居るから自由に動ける部分もあると思ってるよ」

ソファーに座って足を投げ出し、雑誌に視線を落としたままあっさりと告げられる言葉の数々。
少し考えていた自分が馬鹿みたいだと思う。

「じゃあ、これからも傍にいた方がいい?」
「離れる事を許した覚えはないよ」
「…うん、そうね」

【 022.足枷 】  雲雀 恭弥(+10) / 黒揚羽

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10.04.20