005.守人
「大和くんって専属のボディーガードみたいやね」
何気ない花梨の言葉に、唇で加えたポッキーが折れた。
チョコが溶けてしまう前に折れた欠片を食べ、飲み込む。
「あー…うん。花梨の言いたいことは何となくわかるよ」
私も何となくそう思った事はあるし、と呟いて、残りを口に放り込む。
「出かけた時とか、電車とか…さりげなく人ごみから守ってくれるし」
「女冥利に尽きるやん」
「ナンパされても追い払ってくれるし」
「確かに大和くんやったら相手が悪いなぁ。一睨みで逃げ出すんちゃう?」
「や、彼が一瞬で現れたように見えたみたい。それで驚いて逃げるような軟弱なナンパだったのよ」
「軟弱て…大和くんやし、しゃーないやん。アメフトでもトップクラスの俊足やし」
「そう言えばこの間階段から落ちそうになった所を助けてもらったわ。向こうのほうから一瞬で近付いてきたから驚いた。本人はもっと驚いてたけど」
「曲がり角でぶつかるし、階段から落ちるし…お約束やん」
「いや、あれは本を読みながら階段を下りてたから…ある意味必然?」
「危ないからやめって言うたやん!!」
「いやー…続きが気になっちゃって。3分後には読み終わるとこだったのよ」
「階段で読みきろうっていう考えがおかしいわ…」
花梨は呆れたように溜め息を吐き出す。
自覚はないけれど、自分は見ていて危ないタイプらしい。
「気を抜いてるつもりはないんだけどなぁ」
「無自覚って言うところが一番危ないと思うわ」
「猛には目の届くところで気を抜いてくれって言われてる」
「めっちゃ紳士やん」
「…紳士って外堀から固めちゃうような策士的な人にも使う言葉だったっけ…?」
「あれは…気にしたら負けやって!」
「うん、まぁ…結局はなるようになって負けた気分だけどさ」
【 005.守人 】 大和 猛 / ガーベラ