064.嗚呼、愛おしい

「ねー、ローさん」
「ん?」
「暇だね」
「そうか?」
「うん」
「その辺の本でも読んどけ」
「難しくて嫌。それに手が放せない」
「…わがまま猫だな」


「さっきからさぁ…全然釣れないんだけど。それこそ本でも読めそう」
「お前だからじゃないか?」
「私の所為?」
「猫に釣られりゃ、行く末は見えてるだろ」
「魚って船の上まで見えるほど視力良かったっけ?」
「物による」
「ベポは結構釣ってるのになぁ…」
「熊はハンティングが得意だからじゃないか?」
「釣りにまで影響するの?」
「…さぁな」
「あー…暇。何で魚釣りなんてしてるんだろう、私。昼寝したい」
「嫌ならやめとけよ。無理強いしたつもりはないぞ」
「魚食べたい」
「ベポがあんだけ釣ってれば問題ないだろ」
「んー…なんか他力本願だなぁ」
「じゃあ、そこに立ってろ」
「何で?」
「影。日差しの所為で読みにくいんだ。もう少し右…そこでいい」
「…中に入れば?」
「偶には光合成しろって引っ張りに来る猫がいるからな」
「…そう言えば、そうだっけ」


「ローさんって読書中でもちゃんと答えてくれるよね」
「答えなかったら煩いからな」
「本の内容、覚えてるの?」
「お前との会話には専念してるわけじゃない」
「…片手間に会話されてるみたいで微妙だなぁ、それ」
「集中力を分けてるだけだ」
「物は言い様だね」
「…おい、猫になるなよ。影がなくなるだろ」
「嫌ー」
「ったく…勝手気ままだな、お前は」
「猫だからね」


「ローさんとの会話ってぽんぽんしてて楽しいね」
「…人語を話してくれるか?意味がわからねぇ」
「会話が弾むねってこと」
「小難しくて弾まない会話をしてやろうか?」
「例えば?」
「医学関連。こんな感じの」
「………頭痛くなりそう」
「はは。お前には厳しいだろうな」


それは、何気なくて、とても素敵な時間。

【 嗚呼、愛おしい 】  トラファルガー・ロー / Black Cat

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09.08.13