051.朝を迎えに
カストルとポルックスの毛づくろいの途中、付けっぱなしにしていたテレビから流星群の話題が流れた。
思わずそちらに目を向け、手を止める彼女。
「…メテオとは違うのよね」
あれは魔法の力で意図的に隕石を引き寄せるものだ。
一定の周期で訪れる星とはわけが違う。
呟きに答えるつもりはなかったのだろうけれど、クェ、と彼女を見つめる二羽。
「あぁ、ごめんね」
止めていた手を動かして、ブラッシングを再開する。
「セフィロス。あなた、明日は休みだったわよね」
「あぁ―――わざわざ確認するまでもないだろう」
彼がそう答えたのは、彼のパートナーである彼女もまた、同じ任務に付く事が9割以上を占めるからだ。
自分の休みを確認する必要がない、と言う意味を含んでいる。
「それなら…久しぶりに、遠乗りに行きましょうか?」
「…今から、か?」
「今夜は流星群が見られるんですって」
「…星なんて、コメットで十分だろう」
「そう言う事じゃないのよ」
興味の見られない彼に苦笑する。
そんな彼女を見て、セフィロスは自分が折れる事を予感した。
何だかんだと文句を言っても、結局彼女の提案を蹴り飛ばす事は出来ないのだ。
クェ、と甘えるように腕に顔を寄せるチョコボも手伝って、決断の時は早まる。
「暫く放っていたからな。遠乗りも悪くない」
「そう言ってくれると思ったわ。東に…朝でも迎えに行きましょうか」
「…一晩中走るつもりか」
チョコボたちは喜ぶだろうし、徹夜くらいどうと言う事はないけれど。
相変わらず体力に物を言わせた無謀な計画を立てるものだと肩を竦めた。
そんな彼に、彼女はただ微笑む。
「今夜は思いっきり走ろうね」
擦り寄る二羽の頭を腕一杯に抱え込みながらそう話しかける彼女。
その光景を見れば、まぁ、いいか、と思う自分。
神羅最強のソルジャーの片割れである彼もまた、人だったということだろうか。
【 朝を迎えに 】 セフィロス / Azure memory