043.ちゃんとわかってるから
応援要請を受け、自分の銃を片手にパーティー会場へと乗り込む。
既に中は大混乱状態にあって、彼女一人が増えたところで誰も気付きはしなかった。
仕事は迅速かつ確実に。
硝煙のにおいの立ち込める会場の中をブーツで駆け、ターゲットを探す。
「見つけた」
ターゲットに照準を合わせつつも、足を止める事はない。
走る程度の揺れによるブレは、彼女にとってはないも同じだ。
自分の身体なのだから呼吸を合わせればどうとでもなる。
引き金を引き、手に慣れた振動が走る。
銃弾一発で完了、簡単な任務だ。
「さて、と。後は隊長と合流し、て―――」
振り向いた先に、思わぬものを見た。
確かに、今回の任務先のパーティーは女性がメインで、男性はパートナーなしには会場入りできない事になっていた、けれど―――いや、まさか、そんな。
驚いていると言うよりは呆然としている彼女の視線に、相手も漸く気が付いた。
零れんばかりに目を見開き、な、と言葉を失う。
「スクアーロ隊長…随分と可愛らしいお姿で」
「何でテメーがここに居るんだ!?」
「応援要請を受けたんですけど…確かに、要請があった割には簡単な任務でしたね」
ボディーガードが手ごわいわけでもなく、ターゲットはあっさりと片付けられた。
不思議そうに首を傾げる彼女の前で、可愛らしい姿をした彼が拳を握った。
「ルッスーリアかァ!!」
「あ、応援要請は彼からですね、確かに。て言うか、駄目ですよ、隊長。言葉遣いも直さないと」
「任務は終わりだ!!いつまでもやってられるかァァ!!!」
「そんなに怒鳴らなくても、ちゃんとわかってますって。早く帰りましょうよ。混乱が収まったら、面倒なんですから。あぁ、ほら、ルッス隊長があそこに」
「!!ルッスーリア、テメー!!」
スカートの裾を翻し、素晴らしい速度で走っていく彼。
「そんな風に走ったら悪目立ちしますよ、隊長…。まぁ、周りが混乱しているから大丈夫ですけど」
ルッスーリアのみならず、他の幹部も数名グルだと見て間違いはない。
もしかすると、Goサインを出したであろうボスも、だろうか。
命を懸ける現場のはずなのに、この緊張感のなさは何だろう。
「あら、随分綺麗にしてるじゃない」
「ありがとう、ルッス隊長。私が選んだんじゃないんですけどね。まぁ、私の好みではありますけど」
「わかってるわよ。それ…選んだのはボスでしょう?あなたにピッタリだもの!素敵!!」
「………や、うん。そうなんですけど…今日は何かテンション高いですね、いつもに増して」
「昨日は飲み会だったからねぇ。皆、酒が残ってんのよ」
「…あぁ、なるほど」
【 ちゃんとわかってるから 】 ヴァリアー / Bloody rose