030.好きとか嫌いとかそういうことじゃなくて
「コウってさ~…やたらとユウのこと気にかけてるよな」
椅子に逆向きに腰掛け、背凭れに腕をかけながらそう言ったラビに、コウの目線が動く。
目を合わせてみれば、時間を持て余している様子の彼が目に入り、あぁ、暇なんだなと思う。
「そうですか?そんなつもりはありませんけど」
「この間だって、ユウのこと助けてたし。結構な頻度じゃん?ユウが迂闊なんだししかたねぇんだけど」
「彼よりも任務が重なる事が多いラビとは比べ物にならない回数程度ですけどね」
即座に返された返答に、ラビが言葉を噤む。
次なる言葉を探すように視線を彷徨わせ、そして思いついたのか、ピッと人差し指を立てた。
「それに、説明を聞いてなかったユウに後から説明してたさ!」
「毎度寝ているラビにも同じように対応していますけどね」
あっさりとした切り替えされる。
「………ユウの団服を直してた!」
「ラビ、裾が解れてますけど、直しましょうか?」
「あ、頼むさ」
「…………………」
「…………………」
形無しである。
数分後、綺麗に解れを繕ってもらった団服に腕を通しながら、ラビはゴホン、と咳払いをした。
「と、とにかく…ちょっとユウを気にかけすぎじゃないか?」
「あぁ、その話…まだ続いていたんですね。結局のところ、何が言いたいんですか?」
「要するに、ユウが好きなんか、って事さ!」
少しだけ声を大きくしたラビの言葉を最後に、その場に沈黙が下りる。
「…好きとか嫌いとか、そう言う問題じゃないと思いますけど」
「うん、まぁ、そうなんだけどさ…」
「同じエクソシストである以上、不足は補い合うべきでしょう。尤も―――あなたに関しては、“パートナー”として、色々と補っているつもりですけれどね」
そう答えると、彼女はラビの向い側にある椅子に腰掛ける。
そして、鞄から暇つぶしに持ってきていた立体パズルを取り出した。
「…コウ」
「何ですか?」
「大好きさ!!」
「はいはい、私も嫌いじゃないですよ。出来上がりそうなんで邪魔しないでください、鬱陶しい」
「イテテテ…指!変な方に曲がってるから!!」
「色んな方向に曲げられて便利かもしれませんよ」
「骨が折れてんのに便利っておかしくない!?」
【 好きとか嫌いとかそういうことじゃなくて 】 ラビ / 東国の使徒