100.かりそめの

「なー。あの二人って、ほんとに婚約者なわけ?」
「そうらしいね。今年中に結婚するんじゃないかって話もあるよ」
「あら、ステキ!!早速お祝いしてあげなくちゃ!!ベル、あんたもちゃんと何か用意しなさいよ」
「やだよ。何で王子がお祝いなんて用意するの。王子は誘われるだけー」
「まったく!大体あんたは―――」

―――バン!!
盛大な音と共に、部屋のドアが開かれる。
大股で室内に侵入してきた一人は、噂をすれば何とやら、だ。
もう一人が丁寧にドアを閉め、彼に続く。

「XANXUS様、ドアが壊れます」
「うるせぇ」

バサッとソファーに投げられたコートを手に取り、クローゼットの方へと歩く彼女。

「お帰りなさい、コウ!」
「あぁ、ただいま、ルッス姐さん」

テーブルの所で屯していた幹部の一人、ルッスーリアが声をかける。
すると、コウは笑顔でそれに答えた。

「結構遅かったのねぇ」
「そうね。色々と煩くて」

迷惑そうに呟いたコウは、ぱちんと髪留めを外す。
自由になった黒髪が彼女の背中へと流れる様は、絵画として描くに値する光景だ。

「コウ」
「はい、XANXUS様」

くいっと指先一つで呼びつけられる事もに不満の色を見せず、彼女は即座に彼の元へと近づいた。
革張りの椅子に深く腰掛け、テーブルの上に足を乗せた状態で近付いてきた彼女に何かを告げるXANXUS。
二人は、先ほどまで同伴でパーティーに参加していたとは思えないビジネス的な態度だ。
いつもとは違う盛装だけが彼らの行動の名残を残している。
いくつかを確認したらしい二人は、また部屋を出て行ってしまった。
そんな二人の様子は、婚約者と言うよりは…。

「何か、秘書っぽい。やっぱ、あの噂ってただの噂なんじゃねーの?大体、ボスが結婚とか想像出来ないしー」
「ベル、あんたって子は…本当に子供ねぇ」

呆れた様子で答えるルッスーリアに、ムッと口を尖らせるベルフェゴール。

「あんな態度を取るのは人前だからに決まってるでしょ!そんな事もわからないなんて…」

この子、駄目だ。と言わんばかりの表情である。
頭にきたベルフェゴールがナイフを持ち出すまで、後1分。





「で、噂の真偽はどうなの?」
「…何で俺に聞く?」
「スクアーロなら色々と聞いてるでしょ」
「違う様子の二人が見たけりゃ部屋に行けぇ。ただし、XANXUSの機嫌次第で命がけだがなぁ」
「…と言う事は、やっぱり二人の時はいつもとは違う様子なんだね」
「当然だろ。あんな事務的な会話だけで結婚した日には、夫婦生活どころじゃねぇ」
「まぁ、そうだよね。………レヴィ、変な顔が更に変になってるよ。何か言いたいことでもあるの?」
「む…」
「そう言えば、テメーも前に見てたな」
「あぁ…」
「……………………………………………愛らしかった」
「…その顔でその言葉はねぇだろ…。頬染めるな、気色悪い!」

【 かりそめの 二人 】  XANXUS / Bloody rose

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09.07.26