059.厄介な

「どうする?」
「とりあえず、部下を動かすしかないな。俺たちは動けない」
「私なら何とかなりそうだけれど…どうかしらね。この位置でも駄目って事は、厳しいかもしれないわ」
「妖狐ならではの問題だな」
「ええ、本当に。…きっと、暫くアジトを離れないといけないわね」
「あぁ。普通の状態でこれだけ酷いんだ。出血でもさせようものなら…想像したくないな」
「いっそ宿替えにする?少し時期は早いけれど」
「それも考えた方が良さそうだ」
「そうね。……あ」
「どうした?」
「蔵馬が大切にしていた花が枯れたわ。臭気に当てられたのね」
「……………」
「無線なんか取り出してどうする―――」
「俺だ。欠片も残さず処分しろ。出来ない奴は次の宿替えで置いていく」
「―――酷いお頭ね」
「その程度が任せられない部下を持っていても得にはならん」
「…ま、それもそうね。さて…あの子達がどうでるのか、見物ね」
「…片が付くまでに遊びに行ったあいつが帰ってこないことを祈るか」





「…母さん。何、この臭い」
「傍迷惑な客の置き土産」
「そいつの体臭?うわぁ…鼻がいかれそう」
「そうね。建物に染み付いてて、数年は取れないでしょうから…宿替えよ。準備してらっしゃい」
「もう数ヶ月は先だと思ってたのになー…。本当、迷惑な奴」
「えぇ、本当に。結界がなかったら気を失いそうだわ」
「所で、そいつはどうなったの?」
「ミンチになって、消し炭にされて…奈落の崖から落とせって蔵馬が指示していたわね」
「うわぁ…父さん、ぶち切れ?」
「育てていた途中の花が枯れたのよ。5年掛けて漸く蕾をつけていたのに」
「…それなら無理もないかー。―――ところで、さ」
「うん?」
「………すっごく嫌な予感がするから、口に出したくないんだけど…」
「…まぁ、何となくわかる気がするわ」

「姐さん!!大変っす!!」
「何事?」
「さっきの奴と同じ種類の奴が、数十匹!!群れで迷い込んだみたいで…!」
「…………………」
「…………………」
「…………………どうするの?」
「…蔵馬は?」
「二人には先にアジトを離れるようにと」
「…全員に伝えてくれる?1時間後にアジトごと片を付けるから、それまでに脱出するようにって」
「は、はい!!」
「…母さん」
「ん?」
「顔が、笑ってるのに笑ってないよ…」
「気にしないの。それより、あなたも早く準備してらっしゃいな」
「全員アジトごとぶっ飛ばすの?」
「私たちのテリトリーに踏み込んだことを後悔するといいわ」
「………うん。そうだね」

【 厄介な 】  妖狐蔵馬 / 悠久に馳せる想い

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09.04.14