037.子供じみた

「なぁ、セフィロス知らね?」

廊下でザックスに呼び止められた彼女は、不思議そうな表情で首を傾げた。

「セフィロスなら…家で休んでいるけれど、どうかしたの?急な任務?」
「いや、急って言うか…一ヶ月も前に決まってた任務の日なんだけど」

二人の間に沈黙が下りる。

「セフィロスは知らなかった、とか…」
「先週も伝えたんだけど…」

彼が先週の事を忘れているとは思えない。
つまり、彼は意図して忘れていたということになる。
彼女は無言で溜め息を吐き出した。

「今から帰るから…すぐに向かうように叱っておくわ」
「叱られるセフィロスって想像できないな」

苦笑するザックスは、他のメンバーに事を伝える為に彼女と別れた。
彼女はその背中を見送り、やがて別の方向へと歩き出す。





「セフィロス!」

少しだけ怒気を含んだ相方の声に、ソファーで寛いでいたセフィロスが顔を上げた。
今しがた玄関を入ったばかりの彼女がリビングのドアの所でこちらを睨んでいる。
何を言わんとしているのかはすぐに理解できた。

「騒々しいな」
「理由はわかっているでしょう?さっさと連絡してちょうだい」

ほら、と差し出されたケータイを見下ろした彼は、ふぅ、と息を吐き出してそれを受け取る。
そして、メモリの中からザックスのそれを呼び出し、ボタンを押した。

「―――俺だ。今日は気が乗らん。お前だけでもどうにかなるだろう。上にも伝えておけ」

向こうが出るなり、文句を言われる前に自分の言いたいことだけを言ってプツリと通話を切る。
呆気に取られる彼女の前で、ケータイの電源までも落としてしまった。

「セフィロス…気が乗らないって、あなた…」

最早、呆れてものも言えない。
額を覆う彼女に、彼はしれっとした様子だ。
彼女から視線を外して窓の外を見た彼は、抑揚のない声で答える。

「今日は雨が降っているからな」

どこの王様だ、と言う言葉を飲み込んだ彼女は、盛大な溜め息を吐き出した。

【 子供じみた 言い訳 】  セフィロス / Asure memory

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09.03.16