100.100の笑顔

「ねぇ、筆頭」
「何だ?」
「紅、凄く色んな表情を見せるようになったね」
「…そうか?あいつは元々表情豊かだろ?」
「うん。乏しくはなかったけど、でも…本当の表情は見せない子だった。
いつでも周囲を気遣って、平和的に笑う子だったの」
「……………」
「私に見せる顔と、外で見せる顔は全然違ってた。家が厳しかったから、いつでも気を抜けなかったんだと思う。
だから、あんな風に外で本心からの笑顔を見せる紅は、初めて」
「…そうか」
「あなたが変えてくれたのね」
「そんな大層なもんじゃねぇよ。あいつが周囲を想うから、周囲があいつの心に応える。そうする事で関係が良くなっていくだけだろ」
「初めからそれが出来るほど、私達が生きていた世界は他者を必要とする場所じゃなかった。どちらかと言うと、他人には無関心な世界だもの」
「…冷たい世界だな」
「私も、そう思うよ。あなたが紅の見本となり、人々を導く姿を見せたことが、一番大きく影響していると思うわ」
「お前も十分変わったな。俺に噛みついてきたあの時とは全然違う」
「あれは………紅が大切だったから。傷つけられるなんて耐えられなかったのよ」
「あぁ、知ってる」
「でも、あなたが紅を傷つけることはないって、知ってる。だから…もう、あんな失礼な真似はしないわ」
「…いいんじゃねぇか?」
「え?」
「紅のために怒るお前がいるから、あいつはお前のために怒るんだ。お前らの関係はそうやって上手く繋がってるんだろ?」
「…そう、ね」
「お前も十分イイ女だ。…紅の次にな」
「ま、失礼な人!でも…最高の褒め言葉ね、きっと」
「当然だろ」
「筆頭。これからも、紅を守ってあげて。紅が、笑顔を絶やさず…10、20…何種類もの笑顔を浮かべられるように」
「あぁ。任せとけ」





「楽しそうだったわね。何の話をしていたの?」
「色々よー。紅をよろしくって」
「もう。悠希は私のお母さん?」
「親友であり保護者、ってね。ま、変な事は言ってないわ。それより、元親とは何の話をしてたの?」
「船の話とか、海の話とか」
「ふぅん」
「ふふ。そんな拗ねたような顔をしなくても、ちゃんと悠希の自慢話もあったわよ」

「…拗ねてないわ」
「飽きないんですって。悠希が見せる、色んな表情それぞれが、あの人を惹きつけて止まないらしいわ」
「……………」
「聞いているこっちが照れるくらいに、褒めていたわ」
「ったく…恥ずかしい」
「幸せ、ね」
「…うん。そうね」
「乱世が終われば、この幸せが…全ての人に訪れるといいな。無理かもしれないけど、そう思っているの」
「全ては無理かもしれないけど、あなた達が統一した国は、きっと幸せな国になると思う。だから、頑張って」
「うん。ありがとう」

伊達 政宗 / 廻れ、

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08.12.31