086.素朴な疑問

「ずっと気になってたんだけど」
「何?」
「君は違う世界から来たって言ってたよね」
「そうよ。紋章が存在していなかったから、確かだと思うわ」
「言葉…通じてよかったね」
「………………」
「………………」
「………………本当ね。通じなかったら…大変だったわ」
「フリックに助けられたんだっけ」
「ええ。言葉が通じない状態で、出会ったのがビクトールだったらと思うと…」
「…ゾッとするね」
「…否定はしないけれど、笑顔で言うことじゃないわ」
「それに、世界観が似ていたことも…助かってるんじゃないかな」
「世界観?」
「人間が陸地で暮らす生き物だとか、頭から手が生えたりしていないとか」
「あぁ…本当ね。そんな世界だったら、生きていけない自信があるわ」
「異世界って言葉にすると好奇心をくすぐってくれるけど…体験したいとは思わないなぁ」
「…それは、体験した人を前にして言う台詞じゃないと思うわ」
「はは。でも、感謝してるよ。君がこの世界に来てくれたお蔭で、君と出会えた」
「大事な半身に?」
「そう。大事な半身(パートナー)に、ね」
「…言葉が上手いわね」
「自分の感情に忠実なだけだよ」
「…意識せずにそうだとしたら、頷けるけれど…」
「酷いなぁ。……僕が君の世界に行っても、同じように世界に受け入れられるかな?」
「あなたなら問題なく受け入れられると思うわ。
…気が付いたら王座に座っているようなイメージがあるわね」
「ははは。嫌だよ、王様なんて。自由がないじゃないか」
「自由はないかもしれないけれど、国を思う気持ちは誰よりも強いわ」
「うん。でも、僕は国よりも世界よりも…自由でいたい」
「…そうね。それが…きっと、あなたらしいのでしょうね」

1主 / 水面にたゆたう波紋

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08.10.10