074.寂しいね。

「政宗様。何をしているんですか?」
「ん…?…今回の戦の被害状況を、な」
「……亡くなった方々の名前…ですか」
「あぁ。天下を統一した暁には、慰霊碑でも立ててやんねぇとな」
「…そうですね。政宗様のお考え…きっと、彼らも喜ぶと思います」
「そうだといいがな」
「―――…少しお待ちいただけますか?」
「どうした?」
「お渡ししたいものが。すぐに取ってきます」

「お待たせしました。政宗様、これを…」
「こいつは…」
「差し出がましいかとは思いましたが、今まで…私が知っている戦の被害状況を纏めて来ました」
「…こんなのを書き留めてたのか」
「彼らに対して返せることと言えば、忘れないことくらいですから…」
「…ありがたく使わせてもらう」
「ありがとうございます」
「…そんな顔をすんなよ。お前が思いつめることじゃねぇ」
「………人の記憶と言うのは日々更新され、どんどん過去のことになってしまう。
…とても、寂しいですね」
「仕方ねぇことだ。俺たちは生きてるんだからな」
「亡くしてしまった人達を忘れてしまうのは、とても辛いです」
「…辛いと思うなら、あいつらの分まで笑って過ごせ。
それから…皆が笑って暮らせる世を創るんだ。一日でも早く」
「―――お供します、政宗様」

伊達 政宗 / 廻れ、

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08.08.07